トランプ前大統領、再び「非常事態宣言」を警告──ICE協力拒否を巡り首都ワシントンD.C.が緊張状態に
🏛 はじめに|トランプ氏、“再び”非常事態宣言をちらつかせる
2025年9月15日、ドナルド・トランプ前大統領(現:共和党大統領候補)は、ワシントンD.C.の地元警察が連邦移民当局(ICE)との協力を拒否したことを受けて、**「国家非常事態の再宣言を検討している」**と表明しました。
トランプ氏はかつて8月にも、首都の治安悪化を理由に**「犯罪非常事態(Crime Emergency)」を宣言**しており、連邦政府がD.C.警察(MPD)を一時的に統制下に置くという異例の措置に踏み切っていました。
今回はICEとの協力問題を新たな争点とし、再び連邦権限の発動によって自治体を牽制する構えです。
🔎 1. 今回の発言の発端:MPDによるICE協力拒否
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首都ワシントンD.C.の地元警察(MPD)は、ICEによる不法移民への強制送還や職務質問に対し、独自の判断で協力範囲を制限。
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ボウザー市長を中心としたD.C.市政府は、「移民政策は連邦の管轄であり、市としては協力を限定する」とする方針を継続中。
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これに対しトランプ氏は「治安維持を妨げる措置」と猛反発し、国家非常事態宣言によって再びD.C.を連邦支配下に置く可能性を示唆しました。
📜 2. トランプ政権の「非常事態宣言」の法的根拠とは?
トランプ氏が主張する非常事態宣言には、以下の法的根拠があるとされます。
条項名 | 概要 |
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D.C. Home Rule Act §740条 | 「特別な緊急状態」において、大統領はワシントンD.C.警察を直接指揮・運用できる。最長30日間。議会の承認で延長可能。 |
国家緊急法(National Emergencies Act) | テロ・移民・災害など国家の秩序が著しく脅かされた場合、大統領が緊急権限を行使できる。 |
📝 2025年8月には、この条項に基づいてD.C.の警察を連邦管轄とし、National Guard(州兵)を配備する実績もありました。
🔥 3. 支持派 vs 反対派の主張
✅ トランプ支持派の意見
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「ICEと連携しないのは犯罪温床を容認しているに等しい」
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「自治体が連邦法執行を拒否するのは法治の否定」
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「連邦権限によって治安を守るべき」
⚠️ 批判・反対の声
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「D.C.の自治権侵害。連邦による“政治的報復”」
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「統計的にはD.C.の犯罪率は低下傾向。緊急状態ではない」
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「選挙目的で治安を誇張し、権限を乱用している」
多くの法律家・人権団体・民主党系議員らが、「この措置は憲法の濫用であり、危険な前例になり得る」と警鐘を鳴らしています。
📊 4. 実際の犯罪状況と“宣言理由”との乖離
興味深いのは、ワシントンD.C.では2024年〜2025年にかけて暴力犯罪が約12%減少しているというFBIデータがあることです。
にもかかわらず、トランプ氏は**「治安崩壊」「暴動化の危機」**など過激な表現で大統領権限の発動を正当化しており、実態と主張の乖離が問題視されています。
⚖️ 5. 今後の焦点:発動されるのか?どこまで可能か?
注目ポイント | 内容 |
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📌 宣言の発動タイミング | ICE協力拒否が継続された場合、9月中にも再宣言の可能性あり |
📌 法的手続き | 連邦議会が30日以上の延長を拒否する可能性も |
📌 他都市への波及 | シカゴ・メンフィス・ポートランドなど「民主党系都市」でも同様の対立が起きる可能性 |
📌 法廷闘争 | ACLU(米国自由人権協会)や市政府が違憲訴訟を起こす構えも |
✅ 総まとめ:非常事態宣言の再発動は“選挙戦略”なのか?
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トランプ氏は再び「国家非常事態宣言」を持ち出し、ワシントンD.C.に圧力をかけている。
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問題の中心は、ICEとの連携拒否=治安対策か、移民保護かという構図。
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過去の発動(8月)では実際に警察の統制が連邦に移り、州兵も配備。
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今回も「選挙に向けたパフォーマンス」か、「憲法上の権限濫用」か、国内外で論争が続いている。